楽級通信ぷらす

大事な事からそうでもない事まで毎日呟いていきます。

「夜と霧」

「夜と霧」(https://www.amazon.co.jp/dp/4622039702/ref=cm_sw_r_cp_api_glc_i_WS8QM0GTB3S6X7R8B9T8)読了。ゼミでふと話題に上がり、書店で見かけたので購入。ちょっと絶句する内容でした。

 

この本は著者であるヴィクトール・E・フランクルユダヤ人であるがゆえにアウシュビッツ強制収容所(正確にはその支所)に収容された際の体験を、心理学的な側面から描いたものです。妻がこの人を偶然知っていてそのエピソードを違う本でも見たのですが、3歳で医者を志し、4歳にして人生の無常さに気づいたというかなりすごい心理学者。そんな人が生で体験したことが鮮明に綴られているだけに、息を呑んで読んでいました。

 

一番の感想は「こんな苦痛の中でも人は幸せを感じることができるのか」です。数日のうちに死ぬことを悟っていた女性が、何不自由ない生活を送っていた頃には感じることができないことを考えさせられたこの運命に感謝している、と話したエピソード。後日著者がある人からアウシュビッツの病室での写真を見せられて「気の毒ですよね」と言われたことに対し、ここで休んでいる時間は労働しなくていいから幸せだったと思うと語ったエピソード。苦痛がない時間が何よりの幸せだったそうです。正直、理解できませんでした。精神が振り切った状態というのは本当にイメージができません。

 

壮絶な体験記であるだけでなく、被収容者の心理状態を鮮明に書き記した読み継がれるべくして読み継がれてきた本なのだなと実感しました。数年ごとに読み返していきたいと思える名著でした。

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