「運転者」を読みました。Amazon prime会員ということで、Kindleで無料で読める対象となっていました。
この本のキーワードは「運」。保険の営業マンである主人公が、いきなり20件も契約を解消されてこのままでは給料もガッツリ減らされるという状況に陥ります。妻との海外旅行もキャンセルしなければならないし、実家の母から何やら不穏な連絡も入っているし、娘は不登校だし…という色々な出来事が重なりまくって「なんで俺だけ…」と精神的にまいってしまいます。そんなときに彼の前に止まった一台のタクシーに乗り込み、そこから彼の人生が変わっていく、という物語です。
とにかく刺さる名言が多い小説でした。気になった部分を書き出してみます。
●「すぐには何も起こらない。種を蒔いたら収穫まで時間がかかる」
→すぐに結果を期待してはいけない。コツコツ偶然が起こる種を蒔き続けていくことが大切。
●「とにかく頑張っても報われないときは運が貯まっているんですよ。努力をしてすぐ結果が出たり、何かいいことが起こったりする人は、貯めた運を小出しに使っているだけで、他の人より取り立てて運がいいわけではないですよ。同じだけ努力をしたのに結果が出なかった人は、その分、運を貯めたんです。」
→こんなふうに考えられると「努力は報われる」というプラス思考の考えになっていくと思いました。
●「柔らかいのは、何にでもなれる証で、痛みを経験して初めてスペシャリストになれる」
→ギターを練習していくうちに、最初は弦を押さえて痛かった柔らかい指も、次第にかたくなって適応していく、という流れで出た一言。考えさせられます。
●「本当のプラス思考というのは、自分の人生でどんなことが起こっても、それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと思えるってことでしょう」
→自分にとって正解となるような行動を起こしていく必要がある、ということだと思います。ストンと落ちました。
最後の方は感動ものでした。泣けてくる部分もあります。ひさびさに没頭して読みまくってしまいました。喜多川康先生の他の作品も読んでみたいと思います。