「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」を読みました。タイトルに惹かれて購入した本です。ライターのかまどさんが、同じくライターで本を読んだことのない友人みくのしんさんに、読んでほしい本を薦め、その本を個性あふれる様子で読んでいく姿を描いた一冊です。
みくのしんさんが読んだのは「走れメロス」「一房の葡萄」「杜子春」そして雨穴先生の書き下ろし短編小説「本棚」の4作品。みくのしんさんが、一行一行感情移入しながら読んでいく姿が、本の読み方に正解なんてない、ということにあらためて気付かせてくれました。特に「走れメロス」は学校で何度も読んだはずなのに、大人になってから読むと今まで気にならなかった部分まで見えてくるという不思議な体験ができました。「一房の葡萄」「杜子春」は初めて読みましたが、みくのしんさんの感想も相まって、どちらも「なんで今まで読まなかったのだろう」と思えるくらい面白い作品でした。
そんな感じで短編小説を次々と読破していったみくのしんさんが、初めて読破した長編小説が雨穴先生の著書「変な家」だったそうです。「めっちゃわかる!」と頷いてしまいました(笑)。かくいう私も最近読み始め、その面白さと読みやすさから一気読みしてしまった本だったからです。その雨穴先生が、本書のために書き下ろした短編小説「本棚」を読んだみくのしんさんの感想で「0ではなく1だった」という話が印象的でした。今まで本を読んでこなかったけど、それはみくのしんさんの本を読みたい・楽しみたいという気持ちが0だったからではなく、1くらいはあったからこそ、こうして本を楽しむことができふようになった、と話していました。
私自身、色々な本を読むようになったのは30歳手前くらいです。コロナ禍あたりに初めてビジネス書「人を動かす」を読み始めて「うわっ!何これ面白っ!」と衝撃を受けたのを今でも覚えています。今振り返ってみると「自分にはこんな難しい本無理だ…」という思い込みを壊すことができた瞬間だったと思います。
読書は自分の視野を大きく広げてくれるだけでなく、何より楽しいものなのだな、ということを再認識させてくれた一冊でした。短編小説の名作、少しずつ読んでみたいと思います。