「この話、どこに向かってるんだろう?」
そんな疑問を抱きながらも、止めることができずに、Audibleで1週間かけて聴きました。長編小説『ブレイクショットの軌跡』。まさに、壮大なパズルを解くような読書体験でした。
最初はまったく噛み合わないストーリーたち。登場人物も、場面も、空気感もバラバラで、「これらがどう繋がるの?」とずっと頭の中に「?」が浮かびっぱなし。が、終盤になるにつれて、一つ、また一つと、バラバラだったピースがはまっていく。まるで、ビリヤードの「ブレイクショット」で四方八方に飛び散った球が、少しずつ、ある一点に集まっていくかのように。
なんだか、バタフライ・エフェクトを想起させる展開でした。ほんの小さな選択や偶然が、時間を超えて、人物を超えて、大きなうねりとなっていく。日本のことわざで言えば「風が吹けば桶屋が儲かる」でしょうか。
著者は、『同志少女よ、敵を撃て』の逢坂冬馬さん。あの作品で感じた、張り詰めた緊張感と没入感。本作はテーマも舞台も異なるけれど、やはり「逢坂ワールド」とでも呼ぶべき世界観が広がっていました。
正直、最初は混乱しました。でも、最後の一手で、すべてが繋がったときのあの爽快感。ブレイクショットで飛び散った球が、一球ずつポケットに吸い込まれていくような快感がありました。
「何かに没頭したい」
「読み終えたあとに、世界の見え方が変わるような物語がほしい」
そんな方に、ぜひオススメしたい一冊です。
