現役教員FPの毎日マネー日記

妻と息子とともに、「今」を楽しみながら資産5,000万円を目指し、生徒が経済的自由を達成する力を育てることにチャレンジする現役教員FPの実践ブログです。

「叱る」を手放すために 〜『脱・叱る指導』を読んで考えたこと〜

「〈叱る依存〉がとまらない」の著者である村中直人先生の最新作『脱・叱る指導 スポーツ現場から怒声をなくす』を読みました。本書は、単にスポーツ指導者向けの本ではありません。家庭で子育てをしている方、学校で生徒と向き合っている先生、あるいは企業で部下と関わる人——教育や育成に関わるすべての人に読んでほしい一冊です。

◻︎そもそも「叱る」って何だろう?

この本を通して、「叱る」という行為がどういうものか、あらためて考えさせられました。

・叱るとは、言葉や態度を使って、相手にネガティブな感情体験を与えること

・上位の立場にある者が、相手の行動や認識を変えて、自分の思い通りに動かそうとする行為

つまり、「叱る」は相手を“コントロールしたい”という欲求から生まれています。驚いたのは、それが「褒める」や「怒る」といった行為にも共通しているという点。どれも、実は「相手を自分の望む方向に動かしたい」という思いがベースにあります。

◻︎叱る側の快感、叱られる側の防御

人間には、「処罰欲求」があると言われています。自分の価値観に合わない行動を見つけると、それを正したくなり、叱ってしまう。そして一時的に状況が改善されると、ドーパミンが出て快感を覚える。このサイクルが無意識に繰り返されてしまう。

一方で、叱られた側は「防御モード」に突入します。何かを学ぶモードではなく、とにかく“怒られないように”行動するモードに切り替わってしまう。結果として、自ら挑戦しようとする「冒険モード」は閉ざされてしまうのです。

◻︎本当に必要な「厳しさ」とは何か?

「厳しくしないと人は成長しない」
「甘やかしたらダメだ」
そんな“苦痛神話”が、私たちの中にはまだまだ根強くあります。

でもこの本では、こう問いかけています。

「その壁は、子ども自身が「本気で超えたい」と思っているのか? それとも、大人が勝手に用意した壁ではないか?」

本当に必要な「厳しさ」とは、怒鳴りつけたり、罰を与えることではありません。目指す水準を高く掲げ、そこに向けて自分なりの道を模索させる「任せる指導」。この“信じて任せる姿勢”こそが、実は一番厳しく、そして成長につながる指導だと感じました。

◻︎人の成長は「筋トレ」ではなく「植物」

成長を「筋肉のように鍛えるもの」と捉えると、「もっと苦しめ」「もっと追い込め」となりがちです。「苦痛神話」を加速させてしまいます。でも、成長は本来「植物」のようなもの。土を耕し、水をあげ、環境を整え、そしてじっと待つ。引っ張ったら早く育つわけじゃない。時には、ただ“邪魔をしない”という関わり方が一番いいのかもしれません。

私自身、何度も「待てない自分」と向き合ってきました。
「今、声をかけるべきか?」
「もうちょっと見守った方がいいのでは?」
そんな自問自答を、これからも続けていきたいと思っています。

◻︎「叱る」から「フィードバック」へ

大人ができることは、「叱ること」ではなく「環境を整えること」。

・叱らずに済む仕組みをつくる
・子どもたちの選択の自由を尊重する
・成長の邪魔をしない

そして、時には「鏡」のように、相手の姿をそのまま返すフィードバックを届けること。この「鏡としてのフィードバック」は、生徒たちのメタ認知や自己理解を育てる上でも、とても重要だと感じました。

◻︎最後に

今まで、まだまだ「叱る」に依存している風景を多く見てきました。「練習に来なくてもいい」という選択肢すら与えられない不自由なシステム。でも、子どもたちが「自ら挑戦したくなる環境」を整えることこそが、私たち大人の本当の役割なのではないか——そんなふうに感じています。来週、Book Cafeで本書からの学びについて話題提供させていただきます。こんな問いをみなさんと一緒に深められたら嬉しいです。