Audibleで『時帰りの神様』を聴きました。舞台は鎌倉にある一条神社。一度だけ、やり直したい“あの日”に時を戻すことができるという、ちょっと不思議な神社です。そこを切り盛りするのは、イケメン宮司と美人巫女。神社には、「高校生の頃の告白をなかったことにしたい」「別れた友との約束を、今度こそ果たしたい」など、心に何かを抱えた人たちが次々に訪れます。そして皆、それぞれの過去に戻り、過去の自分と、そして今の自分と向き合っていきます。
ふと、「自分だったら、過去に戻りたいと思うことはあるだろうか」と考えてみました。正直、できることなら塗りつぶしてしまいたい過去は、いくらでもあります。でも、不思議と「やり直したい」とは思いません。思い出すたび顔を覆いたくなるような自分もたくさんいますが、そんな日々の中で出会えた人たちや、学んだことはかけがえのないものです。それらが積み重なって、今の自分がある。そう思うと、どんな過去も無駄ではなかったと感じます。
それでも、もし「未来のどこかで、今を振り返ったとき」に、今の自分を誇りに思えるように過ごせているだろうか? そんな問いが頭をよぎりました。過去は変えられないけれど、未来はこれからの選択でいくらでも変えていける。その未来の自分が、今の自分に「よくがんばったね」と言ってくれるような生き方を、少しずつでもしていきたい……。
過去に戻るストーリー展開ではありますが、むしろ“これからどう生きるか”を静かに問いかけてくる作品でした。これからも、自分に正直に、小さな一歩を積み重ねていきたい。そう思わせてくれる一冊でした。
