Audibleで「アルプス席の母」を聴きました。甲子園を目指す球児たちの物語はたくさんあると思うのですが、その球児たちを支える母の想いや苦悩、そして感動を描いた作品には初めて出会いました。
突然の事故で夫を亡くした主人公である秋山菜々子。本書はその息子である航太郎が甲子園を目指すのを、女手ひとつで支える菜々子の姿が描かれています。菜々子自身も、息子が入部した野球部の不条理なルールや保護者関係に悩まされます。もちろんフィクションではあるのですが、その様子が妙にリアルで、ストーリーにどんどん引き込まれました。
印象に残ったのは、色々な場面で支えてくれる人の存在です。菜々子も、息子の航太郎も、同期の球児たちも、そして監督も…。皆、一人ひとり悩みや葛藤を抱えているのですが、そんな時に手を差し伸べてくれる人たちのおかげで前に進めています。自分を支えてくれる人を大切にしなければならないと、あらためて気づかせてくれた一冊でした。素敵な作品に出会うことができて嬉しいです。